よく生きてよく死ぬための心得

fallleaf

遥洋子著 「死にゆく者の礼儀」より

死が怖い方へ、よく生きるために読んでもらいたい本ですが、抜粋してご紹介します。遥洋子さんの約10年に渡る両親への介護体験を含めた介護と死についての本です。

〇それぞれの環境が作る老いの姿

老いは、その人が作ってきた体と、作ってきた環境の、総決算だ。
家族がいようがいまいが、その人の歩みがすべて人生のラストで自分に跳ね返る。
私が哀れもうが哀れまいが、その人が作った体の責任をその人が背負っているのであり、その人が作り上げてきた人間関係が介護の姿を決める。

そこに映るものすべては、人生八十年をかけて、その人が作ってきた結果なのだ。その結果を私たちが勝手に、”老い”と呼ぶのである。

〇医師は神ではない

死の受容といい、大きい苦痛をもたらす処置の許可といい、あまりに責任重大な判断はそれをする人を怯えさせて、結果「私たちには分からないから医師にまかせる」という責任転嫁をしてしまう。怯える程に誰かを頼らずにはいられないのだ。

医師は治療のプロであって、「もうここまで」と寿命を決めるプロではない。医師にまかせるということは、とことん闘わせることを家族が選択している、ということに家族は気が付いていない。

〇好きに生きるための力

好きに生きるには力がいる。
まず人生を謳歌するのを邪魔しているものは何か、を分析することだ。
それは人か、経済力か、あるいは自分の思考。あるいは体力か。
それは解決できるものかどうかを検証することだ。解決できないものなら、妥協点を見いだせるかどうか。

人なら、その人はあなたの人生にとって絶対に必要なのかどうか。異なる関係性を築けるかどうか。
経済力なら、今からでも少しずつ収入を増やすために準備ができないか。
思考なら、いろんな物の考え方を読書等で知ることで自分の発想を変えられないかどうか。
体力なら、毎日少しでも身体を動かしたり、支えてくれる器具を工夫できないか。

〇”好き”は突然生まれない

辛抱とは、一見大変なことに聞こえるが、実は楽な事なのだ。なにもしなければいい。ただ辛抱すればいいのだから。
人生を好きに生きるのは、一見勝手気ままに聞こえるが、実は力がいることだ。なぜならそれは、好きに生きるのを阻害するひとつひとつの要因を発見しては解決していく、ということの連続なのだから。

最も楽な生き方は、なにも感じないようにし、人生はこんなもんだ、と諦めることだ。
傷つくことや怒りもなければ、そのかわり、喜びもない。
問題は若い時にはそれでもいいが、老いてもなおそう思えるかどうか、若い時には分からないということだ。
そして、私はそのことに歯ぎしりをしつつ死んでいった女性を知っている、ということだ。

〇おわりに

何を選ぼうが、どれをとってもそれぞれに悪い点といい点がある。
そういう意味では介護は常に不完全なのだ。
どちらになったからといって、嘆いたり、喜んだりするのではなく、どちらになったところで動揺しないほどの人生の納得をそれまでに築いてほしい。最終的には、それが物を言うのだから。

引用ここまで)

老いの最後に人生の不満だらけで過ごすことはせつないですよね。

年齢に関わらず、人生後半に入ったかなと思われる方へ

好きに生きる、自分の本当に求めている生き方を探すというのは素敵なことだと思います。

人生の納得、応援しています。

counselor
人生後半の悩み
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