「大人のための心理童話ー心の危機に処方する16の物語」について、
とても分かりやすく童話を解説されており、読みやすいのはアラン・B・チネンというユング派の精神分析医だからでしょう。
まず筆者は、おとぎ話を青年童話、中年童話、老年童話とカテゴライズしている。そしてその中で、めでたし、めでたしで終わったおとぎ話のその後の展開、すなわち王子様が禿げ、お姫様が中年女になるとどうなるかを描いたものを中年童話と呼んでいます。
上巻より(引用)
なぜ中年童話は男女の役割を逆転しようとするのか? カール・ユングはこう説明している。男たちが中年になると、伝統的に女性的関心や欲求と考えられているものと、取り組み始める。中年男性は、青年時代に夢中だった権力や地位を求める男性的闘争から抜け出し、人間関係や感情に戻ってくる。それは、たいていの男たちが、青年時代には女々しすぎると言って拒絶したものなのだ。
反対に、女たちは自己主張、自主性、冒険心といったものー典型的な男性的特質ーをとりもどす。ほとんどの社会が幼少から女の子たちに強制している従順で控えめな役、そこから女たちは脱するのだ。ユングの言葉を借りれば、人生の正午には「朝には大切にされていたすべての理想と価値が逆転」するのである。
(中略)彼女たちは装飾品よりは自立に、より強い関心を抱くようになるのだ。
精神的両性具有が中年期に増加し、結婚に満足している夫婦は、もっと若い人や不幸な夫婦ほど、昔ながらの性的役割を演じていないことを筆者は指摘する。
両性具有は、上手な加齢の秘訣であると。
面白いですね。長年生きてると固定した性、女性性や男性性に飽きてくる、というのもある気がします。
カウンセラーという援助する人も、そうなんですよね。
母的なものだけでなく、父的なものも必要なんです。
なにはともあれ、童話の世界面白いです。
