久しぶりに読んだ河合隼雄さんの文章の引用です。(カウンセリング入門より)
「聴くこと」というのはどうしてそんなに難しいんでしょう。
それは、本気で聞いたら悩みがこっちへ移るからです。それが辛いんです。
(中略)われわれの友達付き合いというのを考えたら、いちばんよく分かります。僕らは非常にうまく慰め合っています。というのは、慰めることによってその話を一巻の終わりにしてしまうわけです。
(中略)ところが、向こうが「死のうかと思う」と言って、「そうですか、本当に死ぬような気持ちですね」と聴いていたら、こっちもだんだん辛くなってきますね。そこまで僕らが降りて行って聴くということはなかなかできませんから、いい加減なところで、「そやけどまあ頑張ろう」とか何とか言って、パッと切り離しに持っていく。つまり、向こうが降りて行くのについていけないから、どこかで話を切ってしまうということです。だから「聴く」というと、これほど簡単なことはないように思われますけれども、実は「聴くこと」ほど怖いことはないと思います。そして聴かれる方にとっても、「聴かれること」ほど怖いことはない。これは、本当にやってみられると分かります。
引用ここまで。
深いです!
自分のことを話す、深く話していくというのも本人にとっては怖い場合があります。初回のカウンセリングセッションでそういうことをクライアントさんが話している時は、その方自身の怖がっている気持ちに気づけないことがありますので、カウンセラーとしては、そこにアウェアネス(気づき)が向くようにサポートすることがあります。
又、心理職の人間がカウンセリングを受ける時は同じセラピストにカウンセリングを受けることを推奨されますが、それは心の奥深くにあるものに向き合ったり、セラピストとの深い人間関係を持つこと/向き合うことも大事だからです。
見方を変えると、習い事や会社の中などの浅い人間関係というのもそれなりに良いものなんですよね。
色んな関係を楽しめると良いですね。(2015年5月のブログより)
