先日、あるインナーチャイルド癒しを勉強している人たちのグループで、一人の女性が
「過去に受けた親からの嫌だった出来事を話していたら、ある心理の専門家から『過ぎたことをいつまで言っていても仕方ないでしょう』と言われしまった」
と、辛そうに話されました。過去の傷について話していたら、専門家から新たに傷つけられるという残念な出来事です。専門家から言われてしまったせいで、その方はインナーチャイルド癒しに意味があるのかしら???とまで思ってしまわれたかもしれません。
その専門家の方が、上記の言葉そのままをその女性に言われたとしたら、少し配慮が足りない言葉がけだったかなと思います。加えて、過去のインナーチャイルド癒しやセラピーの効果をあまり経験していない人かもしれないなと想像します。
心理学にも流派が色々あります。新しいセラピーや脳科学や量子力学にひらかれて学びを続ける人も多く存在すると思いますが、セラピストによっては全く異なる流派のアプローチには興味を示さないということもあり得ると思います。又インナーチャイルド癒しはエネルギーセラピーの一種になるため、少しスピリチュアル的なイメージも強まり、スピリチュアルなものを嫌う人からは敬遠されがちだろうと思います。
(しかし、この専門家さんが言いたかった大事なこともあるような気がするので、それについては後で述べたいと思います。)
なんにせよ、大事なのはクライアントさんが悩みから解放されたり、よりよく生きることができたりすることですよね?
そのために 「今の問題解決」 なのか 「過去の傷のケア」 なのか ということですが、
今現在発生している悩み(問題)や生きづらさは、つきつめて行くと、ほぼ幼少期や過去のトラウマ的な出来事に起因します。(ここでは詳しくは述べませんが「無条件幸福のすすめと解離ー私たちが抱える悩みの原因」を参考にしてください)
1つの結論から言うと、
「過去の傷のケア」は
*いつか取り組んだ方が良いです。
あなたが30代、40代を過ぎて人生後半に差し掛かっている場合なら、取り組むことをおすすめします。年齢的に取り組み時だからです。(もちろん自己肯定感が持ててそれなりに日々過ごせている場合は、取り組む必要はありません)
そして、
*それなりにいばらの道ですが、やりがいはすごくあります。
(人生に対する気持ちや向き合い方がどんどん変わっていくからです)
「過去の傷のケア」が向いていない人とは?
しかし、過去の傷のケアをしない方がよい人もいます。
それは、
①大きなトラウマがある人
②心身ともに大きく健康を害している人
③悲しい・寂しいといったネガティブな感情を抑圧することで、自分を保てている人
④過去の自分と今の自分を切り離している人
⑤客観性を持つことができない人(上から自他を見るような視点が一つもない)
⑥変わりたくない人
⑦人間関係で傷ついて人間不信になっている人
です。(これは良い・悪いではなく)
過去の傷のケアを本気でするためには、プロと一緒に取り組む必要があります。しかし特に⑦のような方はセラピー本を買ったりして一人で癒そうとしますが、傷ついている人が傷ついているインナーチャイルドのケアをするのは困難を極めます。そこでセラピストを尋ねてみても、人間不信のまま過去のセラピーなんかに集中できるわけがないのですね。
又、②の「心身ともに健康を害している人」でなくても、深いストレス状態にあるときは、インナーチャイルド癒しのような潜在意識のワークは、実はとても消耗し、一時的にではありますが精神的に不安定な状態になりやすく、セラピストとの共依存関係に陥る可能性も出てきてしまいます。そういったこともあって、くだんの専門家は、その女性にとって過去についてのワークなどはあまり良くないと考えた可能性もある気がします。(私もかつてはセラピー後に寝込んだりなど、好転反応を経験したことが度々でした)
「今現在の問題解決」は?
実際「今困っている問題の解決に取り組むこと」を先に行った方が良いケースは多いですし、①~⑦のような方は、ちょっと過去をチラ見する程度で、現在の問題にしっかり取り組む方が格段に良いです。
ということで、色んな悩みやパターンの原因の多くは過去にありますが、
過去のケアをすると、より深いレベルで生きやすさを感じることができ、
現在の問題に取り組むと、人間関係における新たな対処法を学ぶことができます。
それぞれのアプローチの良さ
私もクライアントとして両方のアプローチをかなり体験しましたが、どちらもその時々でとても良かったです。
★日々大きなストレスを抱えている時は、インナーチャイルド癒しどころではなく、現在の問題の対処をセラピストと話し合ったり、ロールプレイングをしたりする方が断然良かったですし、自分の人生がまとまっていく感じがあって、実際に色々と行動を起こしていくということができました。
(又私も⑦の人間不信は深い所で持っていましたので、セッションを通じてセラピストと話しながらゆっくりと信頼関係を築いていくこと自体も大切だったように思います←これは金銭の枠と時間枠をしっかり設けた「セラピストークライアント関係」だからこそ深められた点も大きいです)
★対して、インナーチャイルド癒しは一言では語りつくせない程の癒しと感動と、その後の脱皮したような感覚や、自分を苦しめていた古い価値観が抜け落ちたことで『それまで悩まされていたことに悩まなくなる』といったことも多く経験しました。(一回インナーチャイルドを癒して終わり、という簡単なものではないのですけれども💦)
絶妙な行ったり来たりのススメ
セラピストとしては、クライアントさんの「今現在の問題の具体的な対処」と「過去の傷の対処」、時と場合によって、それらを行ったり来たり出来ると良いかな、と思っています。絶妙にどちらもとても必要なんですね。クライアントさんのインナーチャイルドがギャン泣きしているような時は、そこに目を向けるお手伝いに入りますし、クライアントさんが新しい行動をとりたい場合などは、そこへの抵抗感をクリアするよう、現在のテーマにしっかりとどまってサポートします。
又過去の傷やインナーチャイルド癒しをしない方がよいとお伝えした①~⑦の方もずっとそのままではなく、現在の問題にしっかり取り組んで悩みが減っていくと過去のワークも出来るようになっていきますのでご安心を。
(参考:A Path in the Woodsのアプローチ)
改めて、「今の問題解決」も「過去の傷のケア」も、両方すごく大事で、現在のワークは行動力が上がって人間関係に強くなり、過去のワークは自分に優しくなれたり、自己肯定感を上げることができると実感しています。